2015年10月19日月曜日

「横浜のマンション沈下事件」何が一番問題なのか

今、大きな騒動になっているマンション沈下問題。
確か、最初にニュースになってたのは、昨、平成26年の秋だったと思います。
 それがなぜか1年近くも経ってから、今の騒ぎになったというのは、何とも不思議です。

ちょうどそのころ建築専門家の方とお話をする機会があり、当然その話題になったのですが、そのときの共通認識は
「杭のうちかなりの本数の先端が支持層に届いていないのは確からしい」
「しかし、そのような施工をするのは、通常『有り得ない』」
というものでした。

 もちろん「有り得ない」というのは、物理的に起こりえないという意味ではなく、施工者の、いわば動機付けの問題です。

 杭の先端が、支持層、ひらたくいえば「杭の先端を支えさせようとする地中の地盤」に届いていなければ、今回起こったように、その杭がささえている建物は、沈んでしまうか、傾いてしまいます。

 そうなると、損害額は、軽く見積もっても数十億円。個人レベルで賠償できる額ではありませんし、支持層に届いていないのが分かりながら、そこで掘削をやめてしまったとすれば、それは故意の不法行為ということですので、たとえ破産したとしても、責任を逃れることはできません。

 杭の長さ、いいかえれば、地盤を掘削する深さは、設計図書で指示されているわけですが、これは別に山勘で決めているわけではなくて、主にボーリング調査などによる、地中の各層の硬さや土の性質の調査結果に基づいて決めてれられているわけです。

 もちろん、地中のいわば「硬い層」の位置(高さ)は、おおむね平らといえるのですが、元は、我々が今住んでいるのと同じ「地面」だったのですから、場所によって多少の高低差があることになりますので、設計で決められた深さは、やや乱暴にいえば「目安」、つまり「ほぼこれ位の深さ前後の、これ位以上の硬さの地盤に達するように、杭を設けなさい」という指示なのです。

 そのため、杭を設けるために地盤を掘削するときには、いわばそのための「巨大なドリル」の先端部が、今どの程度の硬さの地盤に達しているのかを確かめながら掘り進める必要があります。
 それを確かめる方法が、一部の報道でふれている「電流計」のようです。

 同じドリルを使って、アルミ板と鋼鉄版に穴を開ける場合、柔らかいアルミ板に穴を開けるときの方がはるかに小さい力で穴を開けることができます。地盤の掘削もいわば、前に書いたように「巨大なドリル」を使うので、硬い地盤を掘ろうとすると、より大きな力が必要になり、したがって、ドリルを回すモーターにより大きな電流を流さなければいけないことになります。

  「ドリル」の先は、地中数十メートル下にありますし、穴の大きさも杭の太さ+α程度ですですので、そこに降りていって地盤の硬さを測ることはできないのですが、その電流を監視することによって、その先端が所定の硬さの地盤に達しているかをチェックできるわけですし、現実的には、それしか方法がないわけです。

 先に書いたように、地層にも多少の凹凸はありますので、考えていたよりも浅いところで、硬い地盤に達することもあり、その場合は、工事監理者を交えて協議して、そこで掘削を止めるかどうかを検討することになりますし、予定の深さに達したのになかなか硬い地層に達しないときも同様です。

 つまり、所定の深さちかくまで掘り進んだら、(後から記録をチェックするのではなく)計器によって「必要にして十分な深さまで掘削できたか」を監視する必要があるのです。

 今、報道では、記録の捏造・書き換え・使い回しばかりがとりあげられている感がありますが、この事案で、それよりもはるかに重要なのは、
「掘削中のリアルタイムの監視が行われていなかったらしい」
ということなのです。

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