2017年11月14日火曜日

雪国の家

■先日…

6年ぶりに、新潟県南沼市にある、仕事上の先輩のセカンドハウスにお誘いを受けで行ってきました。これまで、何度もお誘いを受けながら、何かとタイミングが合わずお伺いできなかったのですが、室町時代からあるという浦佐の簗場でウナギを堪能してきました(ここのは、大ざっぱに言えば関西風。つまり、割いたウナギを、蒸さずに、そのまま串を打って囲炉裏の遠火でじっくりと焼き上げていて、香ばしく皮も歯ごたえがあります)。

■余談は…

さておき、今回は、もう一つ目的があって、それが「豪雪地帯の家づくり」の研究。

 北海道でもそうですが、冬の積雪の多い地方での、最大の関心事の一つは、「屋根に積もった雪をどう始末するか」にあります。かつては、屋根に登って雪を地面に落とす「雪下ろし」しかなかったのですが、最近はその人手不足や、住民の高齢化に起因する転落や雪に埋まる事故のニュースからもわかるように、できれば、自動的に雪を処理できるようにしたいところです。

■かねてから…

いろいろなアイデアが実行に移されてはいて、今でも覚えているのは、札幌などの市街地でしかできないのですが、40年ほど前には屋根の中央部を凹ませて、わざとそこに雪を溜め、そこに、下水道から導いた熱を通して雪を融かして流すという手法があって、当時千歳空港から札幌に向かうバス(そのころは、鉄道が空港まで引き込まれていなかった)の窓から、中央が下がった屋根の家を結構目にした覚えがあります。

■確か…

ここ20年ほど前からだったように思いますが、上越地方などの豪雪地で「積極的に屋根の雪を落とす」、つまり「雪を下ろすまでもなく、勝手に落ちる」手法が使われはじまりました。

 それを略図にすると


 以下、左下隅から時計回りに実例写真

■タタキ

地面に雪を落とすのはよいとして、そのまま放っておけば、地上に野放図に雪が積み上がるだけで何にもなりません。
 そのため、道路の融雪と同じように温度のやや高い地下水などをかけて雪を融かしてし敷地外に流し出すために、建物の周囲に、コンクリートでいわば浅いプールを作ります。


 


































■基礎

 雪が地面に落ち、水をかけても、すぐに雪が融けて流れ去ってゆくとは限りませんので、ある程度は(と、いうより、実際には「かなり」)上記のプールの内側に雪が溜まり春まで残るようです。

 そのような状態で、建物の木造部分に雪が接していて、しかもそれが融けたり凍ったりしていると、建物の、土台など木材を使っている部分が痛んでしまいますので、建物の木造部分を雪が届きにくい高い位置に上げる、逆にいうと、その下の基礎の背を高くします。


■屋根

 勾配を通常よりも急にしたうえ、屋根を表面をテフロンなどでコーティングした鋼板で葺いて雪を滑り落ち易くしているほか

雪が溜まりやすい頂上部に、伝統的な鋭角状の部材を設けるほか、屋根の下端部を丸くして


雪がスムーズに地面に落ちるような工夫が施されています。

■降雪センサ

 先に書いたように、地面に落ちた雪は、水をかけて融かすのですが、常時水をだしているわけではなく、軒先に設けた降雪センサで、降雪量や降雪時間を感知して、適切な時間だけ融雪用の水を放水しているようです。


■散水装置

 プールに溜まった雪を融かすための水の放水装置。

 おそらく凍結防止の目的もあるようで、かなり太く頑強そうな鋼管で水を導き、随所に設けたノズルから放水します。

■結局…
雪の解けた水、というか、実際には「かき氷の容器の底に最後に残ったみぞれ状の水」が、冒頭の写真のような排水路を通じて、道路沿いの側溝に流れ込み、当地の場合は、最終的に魚野川に放水されることになります。
                                                      以上

【追記】

このアーティクルを読んだ、当家のオーナーからメールが届きました。

一部「伏字」にしてご紹介します。


#Quote
N宅は、長岡の大工に建ててもらったのですが、その大工の意見で
  「ここは八海山を活かすために、敷地の後寄りに建物を建て、
  庭を前景として八海山を一望できるようにしたい」
というので、賛成して任せました。
雪に対する対策は、…解説されているとおりですが、長岡はいざ知ら
ず、MUにはこのような長い水路で外部に融雪水を導く例はありません。

初めてスキーのために小3の次男坊を連れてこの家に到着してア然!!
融雪水は轟轟と流れていますが、高さ1メートル半の雪の下から流れ出してい
ます。融雪水はトンネルから出てくるのです。水路の両側に積もった雪が1メー
トルくらいになると、天井部分が両側から伸びてつながり、その後はドンドン
積もって結局トンネルが形成されるのです。

MUのご近所の人あざわらって曰く

  「長岡などという雪の少ない土地の大工に頼むからこうなる。」*
                    ^^^^^^^^^^
MUの人は、大きな敷地があっても、道路に接着して家を建てます。道路の雪
掻きは行政がやってくれるからです。

ですから、冬期は着いたらまず雪掻きです。タイヘンですよ!!
家内がついてくる場合は、カンジキを履かせて家内だけ先に屋内に入らせ、ヌ
クヌクと雪掻き終了を待たせます。
#UNQUOTE

要するに道路際に家を建てなかったために、大量の雪が目論見通りに道路に
流れ出してくれなかったようです。

ただし、屋根と家の周囲については「理論通り」だったようです。

 次編は、豪雪地帯の雪への備えというか風物詩として、筆者の世代では、
必ず小学校で習ったり学習雑誌に書いてあった「雁木」を採り上げる予定なの
ですが、今となっては意外に史料が乏しい。

*ただし、長岡市も南魚沼市も特別豪雪地帯
 http://www.mlit.go.jp/crd/chisei/niigata.html
 同地帯についての特例措置は
 https://www.town.yuzawa.lg.jp/kurashi/jyuutaku_kenchiku/kenchiku/kenchiku_kakunin.files/chiikiseibi_tokurei_kijun_kaisetsu.pdf
 

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